人間というのは十代ではまったものに、人生すべてが影響されてしまうんじゃないだろうか。もちろん二十代、三十代や中年でもそんなことはあるかもしれないが、十代での経験というのは強烈なインパクトがある。
僕でいうならば、まさに星新一の小説だった。小学生の頃、星新一のショートショートばかり読みふけっていた。あまりにも好きすぎで、小説の登場人物にしてしまったぐらいだ。(僕は好きな人をモデルにして小説の登場人物にするという奇妙な癖があるのだ)
もしかすると星新一をご存知ない方もおられるかもしれないので一応説明しておく。星新一は SF 作家で、ショートショートと呼ばれる短編の名手だ。その生涯で、千一編もの 短編を編み出している。同じ作家のはしくれとして、この数は信じられない。
作家の中では常識だが、長編よりも短編の方が書くのが難しい。長編ではキャラクターやその他の要素で、物語を成立させることができる。だが短編では、ストーリティングの魅力だけで勝負しなければならない。だからごまかしが一切効かない。素材一本勝負というわけだ。
星新一という作家は、そのごまかしのきかない世界で戦い続けていた。まさに超人だ。子供の頃の僕は、そのアイデアと緻密に構成された物語の虜となっていた。
そして星さんの小説で物語の作り方や、アイデアの生み出し方を学んでいた。そのおかげで放送作家や小説家というアイデアで飯を食う仕事をやってこれたのだ。
いわば星新一の小説は、自分の教科書となっている。
せっかくブログを再開したので、ここでは好きなことや興味のあることを書いていこうと思っていた。
ならば自分が一番好きである星新一の小説をこのブログで紹介してこうと閃いた。それは、自分の物語作りや発想法の復習ともなる。
どうやって小説や物語を書けばいいか、どうやってユニークなアイデアを考えればいいか。そんなことに興味がある人も多いと思う。ということで、星新一塾を開講します。教科書は星新一の小説です。定期的に一編ずつ星さんの小説を紹介していきます。
まずは星さんの代表的な作品でもある『ボッコちゃん』です。
お楽しみに。

いつも読んでいただいてありがとうございます。
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