短所は長所となるー自分の才能はなんなのか2ー

欠点やコンプレックスというのは誰しも嫌なものだ。できることならばそんなものいらない。誰しもがそう思っている。

けれどその短所が、 見方や環境を変えることで長所へと様変わりすることがある。

お笑いの分野では、そういう逆転の発想から成功した芸人さんも多い。

例えば、オードリーがそうだ。オードリーは若林さん、春日さんのお笑いコンビだ。今はテレビで見ない日はないほどの人気を誇っている。

そんな彼らも不遇の時代を過ごしていたことがある。 二人がある番組のオーディションに呼ばれた。いわゆるネタ見せというやつだ。 ここでスタッフに面白いと認めてもらえば、番組に出演することができる。

ところがそのネタ見せは散々な結果に終わった。 肩を落としながら若林さんが帰ろうとすると、「若林くんちょっと来て」とスタッフの一人が呼び止めた。そして声を低めてこう忠告した。

「若林くん、 春日はツッコミとしてポンコツだよ」

ツッコミの役割とは訂正だ。ボケの間違いを正しくなおす。そこで笑いが生まれる。だが春日さんのツッコミは、訂正するはずのツッコミ自体が的外れだったのだ。

これはツッコミとしては致命的な欠点だ。的確な訂正ができないツッコミなど使い物にならない。だからスタッフも、それとなく忠告したんだろう。

だがそこで若林さんは逆転の発想をした。ならばその間違ったツッコミをボケに変えてしまおう。そして春日さんの的外れなツッコミを自分がツッコむことで笑いを起こそう、と。

この斬新な視点の切り替えで、『ズレ漫才』というまったく新しい漫才のスタイルを編み出した。このズレ漫才のおかげで二人はブレイクしたのだ。

オードリーの二人は、見事短所を長所に変えたのだ。

そういえば、以前おバカブームというのがあった。クイズ番組などで、比較的勉強のできないタレントさんのとんちんかんな答えが面白がられた。勉強ができないというのは通常ではあきらかな欠点だ。だが芸能界という場所でならば、それが長所となる。環境によって、短所が長所に変わるといういい例だ。

普通自分の欠点や短所というのは知りたくない。でもそれは長所に変わることもあるのだ。

だから自分の才能を知りたければ、この欠点すらもつぶさに見つめることも大切な要素となる。

 

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作家です。放送作家もやってました。第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、『アゲイン』でデビュー。『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』は20万部を超えるベストセラーに。他に『宇宙にいちばん近い人』『シンマイ 』『廃校先生』『神様ドライブ』『くじら島のナミ』『貝社員 浅利軍平』などがある。お仕事(執筆、講演)の依頼は、お問い合わせ欄まで。