水曜日のダウンタウン『人がいるドッキリ』について

水曜日のダウンタウンで、『人がいるドッキリ』という人気企画がいる。

結局一番ドッキリの中で怖いのは、自分の部屋や車の後部座席などに知らない人がいるドッキリではないか? その仮説を検証しようという企画だ。

自分の部屋、車の後部座席の他にも、ベッドの中、起きたら人がいるなどが放映され、芸人さんたちの素晴らしいドッキリリアクションが拝見できた。僕も大好きで、この企画を毎回楽しみにしている。

人がただいる……。

それだけのことになぜここまで人は驚くのだろうか。

驚くというのは、固定観念や常識とは異なる現象を体験したときに起こる感情だ。

ミステリーというジャンルは、この驚きを主体とした文学だ。だからミステリー作家というのは、人の常識をどうひっくり返すかを手を替え品を替え日夜考えている。

人が思う常識を何個も書きつらね、「その常識外のことって何だろう」と考えることでトリックを作るという方法もあるほどだ。

つまり、常識を考えることが驚きを作る最強の方法でもある。

今回で言えば、自分の部屋(パーソナルスペース)には見知らぬ人はいないという常識が人々にはある。

だからこの常識をひっくり返して驚きを与えるには、パーソナルスペースに見知らぬ人がいればいいのだ。

そしてさらに驚きを強めるには、人が安心した瞬間を狙うという手もある。

普通の状況よりも、警戒心が薄まる瞬間に驚かせば、人はより驚いてくれるのだ。

ホラー映画などでよくあるが、女性がシャワーを浴びているときに殺人鬼に襲われるシーンがある。これはシャワーを浴びているときが、人が安心している瞬間だからだ。それを観客は潜在意識でわかっているからこそ、驚きがふくらむ。

つまり水曜日のダウンタウンの企画でも、より人が安心する、ほっとする瞬間に他人がいればいい。

例えばトイレなんかどうだろうか。

おそらく排尿、排便ほど人が安心する瞬間はない。とくに自分の家のトイレであれば、その安心感は格別だ。

ここに見知らぬ人が突然出現すればどうだろうか。その驚きは計り知れない。

うーん、やってみたい……。

ただ百パーセント芸人さんが失禁する可能性があるので、地上波では無理かも。

とりあえずアメーバテレビさんに企画書書いてみます。

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作家です。放送作家もやってました。第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、『アゲイン』でデビュー。『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』は20万部を超えるベストセラーに。他に『宇宙にいちばん近い人』『シンマイ 』『廃校先生』『神様ドライブ』『くじら島のナミ』『貝社員 浅利軍平』などがある。お仕事(執筆、講演)の依頼は、お問い合わせ欄まで。