あなたの仕事における『尻』とは何か

先日NHKのプロフェッショナルで、美尻トレーナーの岡部友さんが取り上げられていた。

女性の尻を美しくしてくれるパーソナルトレーナーだ。

番組を見ていて、女性にとって尻がそこまで大事だということをはじめて知った。女性は尻が美しくなることで、自信になり、生き生きとしてくるそうだ。

尻を美しくしたい……。

申し訳ないが、そんな願望を抱いたことはない。七夕の短冊にも書いたことも、流れ星に願ったこともない。

ある日、親友に海の見える丘に呼び出され、二人で横に並び波一つないおだやかな海を眺めながら、

「俺さあ、尻を美しくしたいんだ」

そうしみじみと言われようものならば、冷静に受け止める自信はない。それほど美尻とは男性にとって縁遠いものなのだ。

でもこの番組を見て、何かに特化する重要性に気づかされた。

岡部さんも以前は普通のフィットネストレーナーをされていたそうだが、あるとき尻の重要性に気づき、美尻トレーナーにシフトしたらしい。

これが普通にトレーナーを続けていたならば、ここまで有名になることはなかっただろう。尻の重要性に気づき、そこに特化したからこそブレイクしたのだ。

ただこの一点特化戦略で難しいのが、「じゃあ何を特化すればいいのか」ということだ。

ラーメン屋は競争が激しいので、「俺は同じ麺料理のクスクス(アフリカ料理)で勝負しょう」としても、中々厳しいのではないだろうか。日本では需要がなさすぎる気がする。

つまりそのジャンルで誰も気づいてないが実は需要があり、そこに特化することが大事なのだ。女性のフィットネスではそれが尻で、岡部さんはそこに気づいた。

もしくはそのジャンルで、自分がもっとも好きな部分、得意な部分に特化するのもいいかもしれない。需要はあるかどうかはまず考えずに、好きで得意な部分に焦点を当てた方がやりやすいからだ。

作家でいえばなんだろうか? 

小説における尻はなんなのかを考えないとダメだ。

尻小説……いや、ないな。

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作家です。放送作家もやってました。第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、『アゲイン』でデビュー。『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』は20万部を超えるベストセラーに。他に『宇宙にいちばん近い人』『シンマイ 』『廃校先生』『神様ドライブ』『くじら島のナミ』『貝社員 浅利軍平』などがある。お仕事(執筆、講演)の依頼は、お問い合わせ欄まで。